家の基礎にひび割れができる原因は?危険なサインと補修・点検の目安を解説
「家の基礎にひび割れがあるけれど、このままで大丈夫?」
「細いひびなら放置しても問題ない?」
家のまわりを見ていて、基礎部分にひび割れを見つけると、不安になる方も多いのではないでしょうか。
基礎は、建物の荷重を地盤に伝え、住宅全体を支えている重要な部分です。
ただし、基礎にひび割れがあるからといって、すべてがすぐに危険な状態というわけではありません。
コンクリートの乾燥収縮によって生じる細かなひび割れもあれば、地震や地盤の動き、経年劣化などが関係しているケースもあります。
大切なのは、ひび割れの大きさだけで判断するのではなく、発生している場所や方向、数、時間による変化などもあわせて確認することです。
この記事では、住宅の基礎にひび割れができる主な原因から、注意したいサイン、自分でできるチェック方法、補修・点検を検討する目安まで分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 基礎にひび割れができる主な原因
- 注意したいひび割れの特徴
- 自宅で確認できるポイント
- 補修する前に確認しておきたいこと
- 住宅診断を検討したいケース
そもそも住宅の「基礎」とは?
住宅の基礎は、建物と地盤をつなぎ、建物の重さを地盤へ伝える役割を持っています。
木造戸建て住宅では、主に「ベタ基礎」や「布基礎」が使われています。
普段はあまり意識する場所ではありませんが、住宅を長く維持していくうえで非常に重要な部分です。
一方、基礎に使用されるコンクリートは、施工後の乾燥や温度変化、経年変化などによってひび割れが生じることがあります。
ポイント
「ひび割れがある=住宅が危険」とは限りません。重要なのは、どのようなひび割れなのかを確認することです。
基礎にひび割れができる5つの主な原因
住宅の基礎にひび割れが発生する原因はひとつではありません。代表的な5つの原因を見ていきましょう。
この記事を書いた人

川井田 修二
住宅メンテナンス診断士
住宅業界に20年以上携わり、現在は戸建住宅の資産管理サービス「家メンテ」に従事。定期的な住宅診断やメンテナンス、履歴管理を通じて、住まいの劣化を防ぎながら資産価値を守るサポートを行っています。人生最大の資産ともいわれる「家」を長く安心して住み続けられるよう、住宅の維持管理の視点から情報発信を行っています。
住まいの施工事例・メンテナンス情報はSNSでも発信中!
Instagramを中心に、住宅診断や施工事例、住まいの情報を更新しています。

① コンクリートの乾燥収縮
基礎のコンクリートは、施工後に内部の水分が抜けていく過程で収縮します。
その際に、表面へ細いひび割れが生じることがあります。髪の毛のように細いものは、一般に「ヘアークラック」と呼ばれます。
比較的よく見られる現象ですが、幅が広がっていないか、数が増えていないかは定期的に確認しておきましょう。
② 経年による劣化
築年数が経過すると、基礎も雨・湿気・温度変化などの影響を受け続けます。
特に、ひび割れ部分から水分が入り込む状態が続くと、内部の鉄筋などに影響する可能性があります。
築10年以上の住宅では、屋根や外壁だけでなく、基礎についても定期的に状態を確認することが大切です。
③ 地震などによる建物への力
地震の揺れによって住宅へ大きな力が加わり、基礎にひび割れが発生することがあります。
地震後に新しいひび割れを見つけた場合は、次のような点も確認してみましょう。
- 地震前にはなかったひび割れか
- 目立つ幅のひび割れではないか
- 複数箇所に発生していないか
- 外壁にもひび割れがないか
- ドアや窓が開閉しづらくなっていないか
④ 地盤の動き・不同沈下
建物の下にある地盤が均等に沈まず、一部だけが沈むことを「不同沈下」といいます。
地盤の動きによって基礎や建物に力がかかり、ひび割れが生じる場合があります。
- 床に傾きを感じる
- ドアが勝手に開閉する
- 窓やドアが以前より開けにくい
- 外壁にも斜め方向のひび割れがある
このような変化も見られる場合は、ひび割れだけを補修するのではなく、原因を確認することが重要です。
⑤ 施工状態などの影響
コンクリートの施工や養生、鉄筋の配置など、施工時の状態がひび割れに関係するケースもあります。
ただし、外から基礎を見ただけで施工状態まで判断することは困難です。
気になるひび割れがある場合は、「見えているひびをとりあえず埋める」ことよりも、まず現在の状態を確認することが大切です。
こんな基礎のひび割れは注意|確認したい5つのサイン
基礎にひび割れを見つけたときは、幅だけで判断せず、周囲の状態もあわせて確認してみましょう。
一度詳しく確認したいサイン
- 以前よりひび割れが広がっている
- 複数箇所にひび割れが発生している
- 横方向・斜め方向に大きく伸びている
- さび汁や白い析出物などが見られる
- ドア・窓・床など、基礎以外にも変化がある

① ひび割れの「幅」
ひび割れの幅は、基礎の状態を確認する重要なポイントのひとつです。
国土交通省の「既存住宅状況調査方法基準」では、コンクリート基礎について幅0.5mm以上のひび割れなどが劣化事象等として調査対象とされています。
ただし、「0.5mm未満なら絶対に問題がない」という意味ではありません。
ひび割れの位置や方向、数、進行状況なども含めて確認することが大切です。
② ひび割れが広がっている
現在の幅だけでなく、時間とともに変化しているかも重要なポイントです。
ひび割れを見つけたら、スマートフォンで写真を撮って記録しておきましょう。
同じ位置・同じ角度から定期的に撮影しておくと、ひび割れが広がっているか比較しやすくなります。
③ ひび割れが複数ある
基礎の一部分だけではなく、建物の複数箇所にひび割れがある場合は、住宅全体の状態も確認しておきたいところです。
基礎だけを見るのではなく、外壁や室内にも変化がないか確認してみましょう。
④ さび汁・白い跡・湿りがある
ひび割れの周囲に、次のような状態がないか確認します。
- 茶色っぽいさび汁
- 白い析出物
- 雨のあとに湿った状態が続く
- コンクリート表面の剥がれ
このような症状がある場合は、ひび割れそのものだけでなく、水分がどこから来ているのかも含めて確認する必要があります。
⑤ ドアや窓にも変化がある
基礎だけではなく、「以前より窓が開きにくい」「ドアが閉まりにくくなった」「床に違和感がある」といった変化が同時に起きている場合は、住宅全体を確認した方がよいケースがあります。
基礎のひび割れを自分で確認する5つのポイント
専門的な判断は難しくても、自宅で確認できることはあります。
① 家の外周を一周する
晴れている明るい時間帯に、住宅の基礎をぐるっと一周してみましょう。
植木鉢や荷物などで隠れている部分も、無理のない範囲で確認します。
② 気になる部分を写真に残す
ひび割れを見つけたら写真を撮っておきます。
できれば「家のどの場所か分かる写真」と「ひび割れ部分のアップ」の2種類を残しておくと、後から比較しやすくなります。
③ 幅・方向・長さを見る
専用のクラックスケールがあれば、ひび割れ幅を確認できます。
幅だけでなく、縦・横・斜めのどの方向へ伸びているか、どのくらいの長さがあるかも記録しておくとよいでしょう。
無理に針金などを差し込んで、ひび割れの深さを測る必要はありません。
④ 外壁・室内も確認する
基礎だけでなく、外壁・玄関・窓・ドア・床など、住宅のほかの部分にも変化がないか確認します。
⑤ 床下も確認対象
基礎の外側から問題が見えなくても、床下側では別の状態が確認される場合があります。
- 基礎内側のひび割れ
- 湿気
- カビ
- 木部の状態
- シロアリ被害の兆候
- 配管からの漏水
床下への無理な進入は避けましょう
床下は狭く、配管や配線などもあります。床下まで詳しく確認したい場合は、専門家による点検を検討しましょう。

住宅診断で床下と基礎を点検している様子基礎のひび割れは「とりあえず埋める」で大丈夫?
基礎にひび割れを見つけると、「ホームセンターで補修材を買って埋めればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、補修する前に確認したいのが、「なぜひび割れが発生したのか」という点です。
表面だけを補修しても、原因が残っていれば再びひび割れが発生する可能性があります。
特に次のような場合は、先に状態を確認してから補修方法を検討した方がよいでしょう。
- ひび割れが以前より広がっている
- 複数箇所に発生している
- 地震後に発生した
- 建物にも傾きなどの変化がある
- 水分やさび汁を伴っている
基礎のひび割れの主な補修方法
ひび割れの状態や原因によって、採用される補修方法は異なります。
| 補修方法 | 主な目的 |
|---|---|
| 表面補修 | 表面的なひび割れの保護 |
| 樹脂注入 | ひび割れ内部への樹脂充填 |
| Uカット・シール材充填 | ひび割れ部分を処理して補修 |
| 基礎補強 | 基礎そのものを補強 |
| 地盤対策 | 不同沈下など地盤に原因がある場合の対策 |
どの工法が適しているかは、ひび割れの幅だけでは決められません。
原因や基礎の状態、建物全体の状況を確認したうえで判断することが大切です。
基礎のひび割れ補修にかかる費用は?
基礎補修の費用は、ひび割れの大きさだけで決まるわけではありません。
- ひび割れの大きさ
- 発生している箇所
- 補修する範囲
- 使用する工法
- 周辺工事の有無
- 地盤への対策が必要か
などによって大きく異なります。
小規模な表面補修と、基礎全体の補強や地盤対策では、工事内容も費用も大きく変わります。
そのため、まず原因と現在の状態を確認し、そのうえで必要な工事について見積もりを取ることが大切です。
基礎だけでなく住宅全体を見ることが大切
基礎のひび割れを見つけると、どうしてもその場所だけに目が行きがちです。
しかし住宅は、屋根・外壁・基礎・床下など、それぞれが完全に独立しているわけではありません。
たとえば、雨水の排水状態や床下の湿気、建物の傾きなど、別の場所の状態が関係しているケースもあります。
そのため、築年数が経過している住宅では、基礎だけではなく住宅全体を定期的に確認することが大切です。

住宅の基礎補強後の状態基礎のひび割れが気になったら住宅診断という選択肢も
「このひび割れは様子を見ていいの?」
「補修した方がいいの?」
「基礎以外も一度確認してほしい」
このような場合は、住宅診断を利用する方法もあります。
家メンテでは、住宅メンテナンス診断士が、屋根・外壁・ベランダ・基礎など、住まいの状態を確認しています。
ひび割れだけを補修するのではなく、まず現在の住宅の状態を知ることで、今後どのようなメンテナンスが必要なのか整理しやすくなります。
こんな方は一度点検を
- 築10年以上経過している
- 基礎のひび割れが増えてきた
- 以前よりひび割れが広がっている
- 大きな地震のあとで住宅の状態が気になる
- 床下まで一度確認してほしい
基礎のひび割れに関する関連コラム
まとめ|基礎のひび割れは「大きさ」だけで判断しない
基礎のひび割れには、コンクリートの乾燥収縮によるものから、経年劣化、地震、地盤の動きなどが関係しているものまでさまざまあります。
そのため、「細いから大丈夫」「ひびがあるからすぐ工事が必要」と、見た目だけで判断するのはおすすめできません。
ひび割れを見つけたら、次のポイントを確認してみましょう。
- 幅
- 方向
- 長さ
- 発生している場所
- ひび割れの数
- 時間による変化
- 基礎以外の住宅の変化
特に、ひび割れが広がっている、複数箇所にある、さび汁が出ている、ドアや床などにも変化があるといった場合は、住宅全体の状態を一度確認しておくとよいでしょう。
基礎は普段あまり見ることのない場所だからこそ、定期的なチェックが大切です。
家のまわりを歩くときに、基礎にも少し目を向けてみてください。
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