地震後に確認すべき基礎チェック |住宅診断士が教える見えないダメージと補強の考え方

大きな地震のあと、外壁や屋根だけでなく基礎の確認も重要です。

住宅診断士が基礎クラックの見分け方、放置リスク、アラミド繊維補強の考え方を分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

家メンテスタッフ T・S
宅地建物取引士・住宅診断士・インテリアコーディネーター・買取再販士
不動産売買、住宅診断、リフォーム提案など住宅に関わる幅広い業務に従事。これまで数多くの住宅の維持管理や資産価値向上をサポートしてきた経験を活かし、現在は「家メンテ」の住宅診断サービスを通じて戸建住宅の長寿命化と適切なメンテナンスの普及に取り組んでいる。

つぶやき

最近各地でまた地震が起きています。

一人でいる夜はアラームにビクッとしとても不安になります。

真っ先に思い浮かぶのは実家は大丈夫だろうか?

です。

古い家なので心配です。

直ぐにLINEをして様子を聞きます。

大丈夫!の返事に安心します。

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目次

大きな地震のあと、家のどこを確認していますか?

地震が起きたあと、多くの方がまず確認するのは、

屋根瓦が落ちていないか。

外壁にひびが入っていないか。

家具が倒れていないか。

こうした「目に見える被害」だと思います。

もちろん、それも大切です。

しかし住宅診断士としてお伝えしたいのは、

地震のあとにこそ確認してほしい場所は、普段ほとんど見ることのない「基礎」だということです。

家は屋根や外壁だけで建っているわけではありません。

家全体を最後に支えているのは基礎です。

どれだけ外観がきれいでも、床下の基礎に大きなダメージがあ

れば、住まいの安全性や資産価値に関わる可能性があります。

家が倒れてからでは遅い

少し強い言い方になりますが、

家は倒れてからでは遅いのです。

地震による被害は、必ずしも一度で大きく現れるとは限りません。

小さな地震。

大きな地震。

台風による強風。

近隣工事による振動。

こうした力を繰り返し受けることで、基礎や構造部分に少しずつ負担がかかることがあります。

一度の地震で倒壊しなくても、

基礎にひび割れが入り、

そこから雨水や湿気が入り、

鉄筋が傷み、

さらにひび割れが広がる。

このように、時間をかけて劣化が進むこともあるのです。

だからこそ、地震後は「何もなさそうだから大丈夫」ではなく、

一度、家の健康状態を確認する

という考え方が大切です。

地震の力は想像以上に大きい

2階建ての戸建住宅は、見た目以上に重い建物です。

建坪30坪前後の一般的な木造2階建て住宅でも、屋根・外壁・柱・梁・床・設備・家具などを含めると、相当な重量になります。

特に屋根材によっても建物上部の重さは変わります。

一般的に、

  • 瓦屋根は重くなりやすい
  • スレート屋根は瓦より軽い傾向がある
  • 屋根が重いほど、地震時に建物上部が揺さぶられやすい

と考えられます。

もちろん、実際に基礎へどの程度の力がかかるかは、建物の構造、地盤、耐震性能、地震波の性質によって変わります。

そのため「震度〇で必ず〇トンの力」と断定することはできません。

しかし一つ言えるのは、

地震の揺れは、最終的に基礎と地盤へ伝わる

ということです。

屋根が揺れる。

柱や梁が揺れる。

壁が力を受ける。

そして最後に、その力を受け止めるのが基礎です。

実際にあった住宅診断事例

当社の住宅診断でも、基礎の状態に驚かれるお客様は少なくありません。

以前、まだ購入から3年ほどの建売住宅を診断した際のことです。

ご家族は、

「まだ新しい家だから大丈夫」

と思われていました。

当然だと思います。

築3年と聞けば、多くの方が「まだ問題はない」と考えるでしょう。

しかし床下に入り基礎を確認すると、0.3mmを超えるクラックが見つかりました。

お客様はとても驚かれていました。

「えっ、まだ築3年なのに?」

「そんなことがあるんですか?」

と困惑されていました。

築浅でも基礎クラックは起こる

基礎のひび割れは、古い住宅だけに起こるものではありません。

築浅住宅でも発生することがあります。

原因は一つではありません。

例えば、

  • 地震による揺れ
  • 台風や強風による建物の揺れ
  • コンクリートの乾燥収縮
  • 施工時の水分量
  • 鉄筋のかぶり厚さ不足
  • 地盤の影響
  • 近くの鉄道や地下鉄による振動
  • 大きな工事現場の影響

など、様々な要因が考えられます。

実際にその住宅では、外壁にも飛来物による小さな塗装剥がれが確認されました。

隣家とぴったり建っている住宅ではありませんでしたが、外部環境の影響を受けている可能性は十分に考えられました。

このように、住宅は新しいから絶対に安心というものではありません。

基礎クラックの見分け方

基礎のひび割れには、大きく分けて注意度の低いものと、慎重に確認すべきものがあります。

1. ヘアークラック

髪の毛のように細いひび割れです。

一般的には0.3mm未満の細いひび割れを指すことが多く、すぐに構造上大きな問題になるとは限りません。

ただし、細いからといって放置して良いわけではありません。

大切なのは、

「広がっていないか」

「増えていないか」

を定期的に確認することです。

2. 0.3mm以上のクラック

0.3mm以上のひび割れは注意が必要です。

特に、

  • 長く伸びている
  • 複数箇所にある
  • 斜めに入っている
  • 内側と外側で同じ位置にある
  • 水染みがある
  • 以前より広がっている

このような場合は、専門家による確認をおすすめします。

3. 貫通クラックの可能性

外側だけでなく、床下側にも同じような位置でひび割れが確認される場合、基礎を貫通している可能性があります。

貫通クラックは水分の侵入や鉄筋への影響が心配されるため、より慎重な判断が必要です

地震後に自分で確認したいチェックポイント

地震後に、まずご自身で確認できるポイントがあります。

ただし、床下に無理に入る必要はありません。

危険を感じる場合は、必ず専門家へ相談してください。

外から確認するポイント

  • 基礎に新しいひび割れがないか
  • 以前からあったひび割れが広がっていないか
  • 基礎表面が剥がれていないか
  • 外壁に斜めのひび割れがないか
  • 玄関ポーチや土間に段差がないか
  • ブロック塀に傾きがないか

室内で確認するポイント

  • ドアや窓が閉まりにくくなっていないか
  • 床が傾いた感じがしないか
  • 壁紙に新しいひびがないか
  • 建具の隙間が変わっていないか
  • 床鳴りが急に増えていないか

こうした変化がある場合、建物が地震の影響を受けている可能性があります。

基礎のひび割れを放置するとどうなる?

基礎クラックで怖いのは、ひび割れそのものだけではありません。

そこから始まる劣化です。

水が入る

ひび割れから雨水や湿気が入り込むことがあります。

鉄筋が錆びる

基礎内部には鉄筋が入っています。

水分や空気の影響で鉄筋が錆びると、膨張してコンクリートを内側から押し広げることがあります。

ひび割れが広がる

鉄筋の錆や地震の繰り返しにより、ひび割れが少しずつ広がる可能性があります。

修繕費が高くなる

初期段階であれば軽微な補修で済むこともあります。

しかし、劣化が進むと補修範囲が広がり、費用も大きくなる可能性があります。

アラミド繊維補強という考え方

基礎の状態によっては、補修だけでなく補強を検討するケースもあります。

その一つがアラミド繊維を用いた補強工法です。

アラミド繊維は、軽量で引張強度に優れた繊維素材です。

基礎表面に専用の材料とともに施工することで、ひび割れの進行抑制や基礎の補強を目的として使われることがあります。

もちろん、すべてのクラックにアラミド繊維補強が必要というわけではありません。

大切なのは、

  • ひび割れの幅
  • ひび割れの深さ
  • 発生箇所
  • 数
  • 進行状況
  • 建物全体の状態

を確認したうえで、必要な補修・補強を判断することです。

「すぐ工事」ではなく「まず診断」

家メンテが大切にしているのは、いきなり工事をすすめることではありません。

まずは状態を知ることです。

住宅診断では、

「今すぐ補修が必要です」

と判断する場合もあります。

一方で、

「今は経過観察で大丈夫です」

とお伝えする場合もあります。

大切なのは、必要なタイミングを見極めることです。

地震後に不安だからといって、必要のない工事まで行う必要はありません。

しかし、確認しないまま放置するのも危険です。

だからこそ、住宅診断士による点検が役立ちます。

住宅履歴が将来の資産価値を守る

基礎の点検や補修記録は、将来の売却時にも役立つ可能性があります。

中古住宅を購入する方にとって、

「この家はきちんと点検されてきた」

という履歴は安心材料になります。

反対に、

「床下を一度も見たことがない」

「基礎のひび割れがいつからあるのか分からない」

という住宅は、不安を持たれやすくなります。

家を長持ちさせるためにも、将来の資産価値を守るためにも、住宅履歴を残すことはとても大切です。

まとめ

地震後に確認すべき場所は、屋根や外壁だけではありません。

本当に大切なのは、家全体を支えている基礎です。

基礎のひび割れは、すべてが危険というわけではありません。

しかし、

  • 0.3mm以上のクラック
  • 長いクラック
  • 斜めのクラック
  • 増えているクラック
  • 水染みを伴うクラック
  • 床下側にも見えるクラック

には注意が必要です。

家は倒れてからでは遅い。

だからこそ、大きな地震のあとには「家の健康診断」をおすすめします。

家は屋根でも外壁でもなく、最後は基礎が支えています。

見えない場所だからこそ、早めに確認しておくことが大切です。

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