
この記事を書いた人

川井田 修二
住宅メンテナンス診断士
住宅業界に20年以上携わり、現在は戸建住宅の資産管理サービス「家メンテ」に従事。定期的な住宅診断やメンテナンス、履歴管理を通じて、住まいの劣化を防ぎながら資産価値を守るサポートを行っています。人生最大の資産ともいわれる「家」を長く安心して住み続けられるよう、住宅の維持管理の視点から情報発信を行っています。
住宅の基礎にひび割れや傾きが見つかると、「補強工事にはいくらかかるの?」と
不安になる方も多いでしょう。
基礎補強工事の費用は、劣化の状態・建物の規模・補強方法によって大きく変わります。
軽微なひび割れ補修なら数万円から、地盤改良や大規模な補強では数百万円になることもあります。
ここでは、2026年時点の基礎補強工事の費用目安と、工法を選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。

基礎補強工事とは?
基礎補強工事とは、住宅を支える基礎に生じたひび割れ・強度不足・不同沈下などの問題を改善するための工事です。
基礎の状態によって必要な工事は異なり、単純なひび割れ補修で済む場合もあれば、基礎そのものの補強や地盤改良が必要になるケースもあります。
そのため、ひび割れを見つけたからといって、すぐに大規模な補強工事が必要とは限りません。
まずは、「なぜひび割れや傾きが発生しているのか」原因を確認することが大切です。
布基礎とべた基礎
住宅の基礎には、主に「布基礎」と「べた基礎」があります。

- 布基礎:壁や柱の下に帯状に基礎を設ける
- べた基礎:建物の床下全体を鉄筋コンクリートで支える
古い住宅では布基礎が多く見られますが、べた基礎だからといって問題が起こらないわけではありません。
地盤の状態や施工状況によっては、どちらの基礎でも補修・補強が必要になる場合があります。
基礎補強工事の費用相場
一般的な戸建て住宅での費用目安は以下のとおりです。
| 工法 | 費用目安 | 主なケース |
|---|---|---|
| ひび割れ補修 | 5~30万円 | 軽微なひび割れ |
| エポキシ樹脂注入 | 10~40万円 | ひび割れの補修 |
| 炭素繊維シート補強 | 50~150万円 | 基礎の強度補強 |
| アラミド繊維補強 | 50~150万円 | 基礎の強度補強 |
| 増し基礎 | 100~300万円 | 基礎の強度不足 |
| 地盤改良 | 100~500万円程度 | 不同沈下・地盤の問題 |
| アンダーピニング | 150~600万円程度 | 大きな不同沈下 |
※費用は住宅の規模、施工範囲、地盤状況、施工条件などによって変わります。
特に、地盤に原因がある場合は基礎だけを補修しても問題が再発する可能性があります。
工法によって費用が変わる理由
ひび割れ補修
比較的軽微なひび割れで、構造上の問題がない場合に行います。
ひび割れの状態に応じて、シール材やエポキシ樹脂などを使用します。
ただし、ひび割れの原因が地盤沈下などの場合は、表面だけを補修しても十分ではありません。
炭素繊維・アラミド繊維による補強
基礎の表面に繊維シートを貼り付け、基礎の強度を高める方法です。
比較的施工しやすく、既存の基礎への負担を抑えながら補強できるのが特徴です。

増し基礎
既存の基礎に新しいコンクリートを加えて、基礎の断面を大きくする工法です。
配筋・アンカー・型枠・コンクリート打設など複数の工程が必要になるため、部分補強より費用が高くなる傾向があります。
地盤改良・アンダーピニング
建物の傾きや不同沈下が地盤に原因している場合に検討されます。
地盤の状態や沈下の程度によって工法が大きく異なるため、地盤調査を行ったうえで方法を決めることが重要です。
建物の規模による費用の目安
同じ工法でも、施工する範囲が広くなれば費用も増えます。
| 建物規模 | 部分補強の目安 | 全体補強の目安 |
|---|---|---|
| 20坪未満 | 20~80万円 | 150~350万円 |
| 20~35坪 | 30~120万円 | 200~450万円 |
| 35坪以上 | 50~180万円 | 300~600万円以上 |
あくまで目安であり、床下への入りやすさ、施工スペース、設備の移動、地盤状況などによって費用は変わります。
「○坪だから○万円」と単純には判断できない点に注意しましょう。
基礎補強が必要かもしれないサイン
次のような症状がある場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
- 基礎に大きなひび割れがある
- ひび割れが広がっている
- 基礎のコンクリートが剥がれている
- 鉄筋が露出している
- 床や建物に傾きを感じる
- ドアや窓が急に開閉しにくくなった
- 外壁や内壁に新しいひび割れが増えた
- 床下の湿気が強い

特に、ひび割れと建物の傾きが同時に見られる場合は、基礎だけでなく地盤も含めた確認が必要です。
基礎補強は「原因を調べること」が重要
基礎のひび割れには、乾燥収縮によるものから、地盤沈下や構造上の問題によるものまでさまざまな原因があります。
そのため、ひび割れを見つけた場合は、
ひび割れを補修する
↓
原因を調べる
ではなく、
原因を調べる
↓
必要な補修・補強方法を決める
という順番が重要です。

診断では、ひび割れの幅や位置、建物の傾き、床下の状態、基礎の状態などを確認します。
必要に応じて地盤調査や耐震診断を組み合わせることで、より適切な補強計画を立てられます。
見積もりを取るときのポイント
基礎補強工事では、金額だけで業者を比較するのはおすすめできません。

見積もりを確認するときは、次の点をチェックしましょう。
- どの部分を補強するのか
- なぜその工法を選んだのか
- 補強の原因が明確になっているか
- 工事範囲が見積書に記載されているか
- 保証期間・保証内容はどうなっているか
- 診断結果と工事内容が一致しているか
できれば2~3社程度から見積もりを取り、工事内容まで比較すると安心です。
補助金が利用できる場合も
基礎補強が耐震改修の一環として行われる場合、自治体の耐震改修補助制度を利用できる可能性があります。
ただし、対象となる住宅や工事、補助額、申請時期などは自治体によって異なります。
また、工事開始前の申請が必要なケースもあるため、契約・着工前に確認することが大切です。
お住まいの自治体の制度を確認してみましょう。
基礎補強は早めの確認が安心につながります
基礎補強工事は、数万円程度の補修で済む場合から、地盤改良を含む数百万円規模の工事まで幅があります。
だからこそ、ひび割れや傾きを見つけたときに、見た目だけで「大丈夫」「すぐ補強が必要」と判断しないことが大切です。

まずは基礎や床下、建物全体の状態を確認し、原因に合った対策を検討しましょう。
「このひび割れは大丈夫?」
「補強が必要なのかわからない」
という場合は、早めに専門家へ相談することで、必要以上の工事を避けられる可能性もあります。
当社では、基礎を含めた住宅の状態を確認する住宅診断を行っています。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

