災害から大切な家を守る ― これからの住まいに必要な備えとは

日本は“災害が多い国”—地震・台風・豪雨など多彩な自然リスクに直面

日本は、世界でも有数の「災害大国」と言われるほど、地震・台風・豪雨・洪水・土砂災害・豪雪など多くの自然災害に直面します。

毎年のようにどこかで被害が報じられ、多くのご家庭が「明日は我が身かもしれない」と不安を感じているのではないでしょうか。

しかし、災害は防ぎようがないものではありません。
確かに自然そのものを止めることはできませんが、「住まいへの備え」を進めることで被害をぐっと小さくすることはできます。
家を強くし、被害のリスクを減らすことは、家族の命と日常生活を守ることにつながります。

このコラムでは、大切な家を災害から守るために必要な考え方や、具体的な点検・対策方法について、一般の住宅所有者の方にもわかりやすく解説します。

1. なぜ“災害対策”が今あらためて重要なのか

ここ数年、台風の大型化や集中豪雨の頻発、地震の多発など、災害の傾向が明らかに変わってきています。

■ 豪雨災害は“局地・短時間”へ変化

気象庁の情報でも、「これまでに経験したことのない大雨」が頻繁に発表されています。短時間で一気に降る雨は、河川の氾濫や内水氾濫(道路や排水が追いつかず起きる浸水)を引き起こし、住宅への浸水被害が大幅に増加しています。

■ 台風はより大型化し、風害が深刻に

屋根の飛散や外壁の剥離、窓ガラスの破損など、住宅の構造そのものに被害が出るケースが増えています。

■ 地震は“場所を選ばず”発生

地震大国である日本では、いつどこで大地震が起きても不思議ではありません。
「自分の地域は大丈夫」という考えが通用しないことは、多くの地震が証明しています。

こうした状況から、住まいを災害から守るための対策は、
「いつか必要になるかもしれない」ではなく「いますぐ始めるべきもの」になっているのです。

2. 家を守るための“基本の考え方”

災害への備えは専門的で難しい……と思われるかもしれませんが、根本はとてもシンプルです。

① 家の弱点を知ること

多くのご家庭で「家の弱点」を意外と把握していません。

  • 屋根がどんな状態か
  • 雨樋は詰まっていないか
  • 外壁は劣化していないか
  • 地震に耐える構造なのか
  • 排水経路に問題はないか
  • 浸水しやすい立地なのか

これらが分かるだけでも、必要な対策が明確になります。

② できることから確実に対策すること

完璧を目指す必要はありません。
小さな対策の積み重ねが、大きな被害を防ぎます。

③ 定期的に見直すこと

家は生き物と同じで、毎年状態が変化します。
災害も年ごとに強さや種類が変わります。 そのため、「一度対策したら終わり」ではなく、定期的に見直す習慣が大切です。

3. 災害別の“住まいの弱点”とその対策

ここからは、災害ごとに住宅が受けやすい被害と、一般の方でも取り組みやすい対策を詳しく紹介します。


■ 〈地震〉 揺れで壊れるのは“弱った部分”から

地震では、建物の構造だけでなく、細かい部分の劣化や老朽が被害を大きくします。

● 屋根の瓦や板金のズレ

瓦屋根は1枚でもズレがあると地震で落下しやすくなります。
金属屋根やスレート屋根でも、固定金具のゆるみは大きなリスクです。

◆ 対策 → 定期的な屋根点検と補修
専門業者による点検が最も安全ですが、双眼鏡などで「浮き」「欠け」「サビ」を確認するだけでも大きな事故を防ぎます。


● 耐震性能が旧基準のまま

1981年以前に建てられた住宅は「旧耐震基準」の可能性があり、大地震に十分耐えられないケースもあります。

◆ 対策 → 簡易耐震診断の活用
自治体の無料・補助制度も多く、費用負担を抑えながら耐震補強が可能です。


● 外壁や基礎の“ひび割れ”

ひび割れは地震で広がりやすく、倒壊や雨漏りにつながります。

◆ 対策 → ひび割れの放置をしない
幅0.3mm以上のひびは要注意。早めの補修が重要です。


■ 〈台風・強風〉 最も被害が多いのは“屋根”と“窓”

台風の風は、住宅の弱点を容赦なく狙います。

● 屋根材の飛散

日本の台風被害で最も多いのはこれです。
屋根は風を受けやすく、劣化している部分からめくれ上がります。

◆ 対策 → 屋根固定の強化・経年劣化のチェック

  • 棟板金の釘が浮いていないか
  • コーキングが切れていないか
  • スレートの割れがないか

これだけでも被害を減らせます。


● 窓ガラスの破損

飛来物が当たることが原因で、ガラス破損は非常に危険です。

◆ 対策 → 飛散防止フィルム・シャッターの設置
後付けシャッターや面格子も有効です。


● 雨樋の詰まり

台風前に最もやっておくべき対策のひとつです。
雨樋が詰まると、屋根や外壁から雨水が逆流し、雨漏りの原因になります。

◆ 対策 → 年1回の清掃が理想


■ 〈豪雨・洪水〉 “排水”が住まいの命綱

豪雨による被害は、屋根ではなく「地面から」がほとんどです。

● 庭や敷地が排水不良で浸水

落ち葉が排水口を塞いでいた、というケースが非常に多いです。

◆ 対策 → 排水枡・側溝の清掃


● 浸水で床下が被害を受ける

床下が湿気を含むと、カビや腐朽菌が発生し、家全体の寿命を縮めます。

◆ 対策 → 床下点検と防湿対策
浸水が疑われたら、早期乾燥が必須。


● 下水の逆流

都市部の被害で増えているのが「下水の逆流」です。

◆ 対策 → 逆流防止弁の設置
後付けできるタイプも多く、被害を大幅に減らせます。


■ 〈土砂災害〉 地盤・立地そのものがリスクに

丘陵地や斜面付近の住宅では特に注意が必要です。

● 壁面のひび、地盤沈下、基礎のズレは危険サイン

これらは土地のゆるみが進んでいる可能性があります。

◆ 対策 → 基礎・外壁の定期点検


● 裏山や斜面がある住宅では排水路の確保が重要

雨水の流れ道が詰まると、土砂が流れやすくなります。

◆ 対策 → 排水路の点検・整備

4. “見えない場所”こそ災害に弱い ― 点検すべき6つのポイント

住宅で特にダメージが出やすい「見えない部分」を挙げます。
ここが弱いと、災害時に一気に被害が広がります。

① 屋根裏(雨漏りの前兆が現れる)

シミ・湿気・カビのにおいは雨漏りのサイン。

② 床下(湿気・シロアリ・浸水)

普段見ない場所ですが、ダメージを受けやすい重要な部分です。

③ 基礎(ひび割れ・欠け)

地震や地盤のゆるみで被害が拡大します。

④ 外壁のコーキング(経年劣化しやすい)

これが切れると水が侵入しやすくなります。

⑤ 雨樋(落ち葉・泥の詰まり)

雨漏りの大きな原因です。

⑥ 排水枡・側溝(豪雨時の浸水リスク)

庭や玄関周りが浸水する原因の多くは、単なる「詰まり」です。

5. 住まいを災害に強くする“長期的な備え”

一時的な対策だけでなく、数十年先を見据えた備えも大切です。


◆ 〈1〉 定期的な住宅点検(年1回が理想)

医師の健康診断と同じで、住宅も定期的なチェックが必要です。
目視で分からない部分は専門家による診断が効果的です。


◆ 〈2〉 劣化を放置しない

小さな不具合(ひび割れ・ズレ・浮き・コケなど)が、大きな被害の引き金になります。


◆ 〈3〉 耐震・耐風・防水のアップグレード

  • 耐震補強
  • 屋根材の軽量化
  • 外壁塗装による防水性能向上
  • 雨樋・排水設備の改善
  • シャッターや飛散防止フィルム

これらはすべて災害の被害を減らす有効な手段です。


◆ 〈4〉 地域のハザードマップの確認

自治体が公開しているハザードマップは非常に有用です。

  • 浸水リスク
  • 土砂災害リスク
  • 液状化リスク

これらを把握することで、家のリスクと必要な対策が見えてきます。

6. 家を守ることは、家族の生活そのものを守ること

災害は突然やってきます。
そして、被害の程度によっては、家だけでなく日常生活そのものが大きく揺らぎます。

  • 屋根が壊れて雨漏りが始まる
  • 外壁が破損して住めなくなる
  • 浸水で家財がダメになる
  • 暮らしが数カ月単位でストップする

これらを防ぐためにできることは、実は多くあります。
災害対策とは、「大切な家族の生活を守る行動」そのものなのです。

7. 今日からできる“3つの簡単ステップ”

最後に、誰でもすぐに始められる取り組みをまとめます。


① 家の外周チェック(10分でOK)

  • 屋根の浮き
  • 外壁のひび
  • 雨樋の詰まり
  • 排水口の確認

これだけでもリスクが大幅に減ります。


② 豪雨・台風前の「事前清掃」

  • 雨樋
  • 側溝
  • 排水枡

水の流れを確保するだけで浸水被害は大きく減ります。


③ 年に一度の住宅点検

プロの点検を受けることで、見えない部分の弱点が分かり、必要な補修や対策が明確になります。

家は「守ってこそ価値が続く」

大切な家を守ることは、家族の命と生活を守ることです。
災害そのものを止めることはできませんが、備えは必ず被害を軽減し、復旧を早めてくれます。

「まだ大丈夫だろう」ではなく、
「今できることを今日やる」。
その積み重ねが、災害に強く、長く安心して暮らせる住まいをつくります。

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