床下の湿気が家を傷める理由と、今日からできる対策ガイド

住宅の床下の湿気の影響

住宅のトラブルというと、「雨漏り」「シロアリ」「外壁のひび割れ」「給水設備の故障」など、目に見える部分に意識が向きがちです。
しかし、実はその多くが“見えない場所”である 床下の湿気 によって引き起こされていることをご存じでしょうか。
床下は普段の生活の中で確認する機会がほとんどない空間ですが、湿気が溜まり続けると、住宅性能の低下から構造の劣化、健康被害にまでつながることがあります。

本コラムでは、一般の住宅所有者の方に向けて、「なぜ床下に湿気が溜まるのか」「湿気が家にどんな悪影響をもたらすのか」「どのように対策すればよいのか」を丁寧に解説していきます。
あなたの住まいを長く良い状態に保つための大切なポイントが詰まっていますので、ぜひ最後までお読みください。

1. そもそも床下はなぜ湿気が溜まりやすいのか?

床下とは、1階部分の床の下に広がる空間のことです。
一般的には外部に面した基礎の通気口や、基礎内部で空気が流れるように設計されていますが、それでも湿気が溜まりやすいのはなぜでしょうか。

(1)地面の湿気が上がってくる

床下の大部分が土がむき出しになっているケースもあり、地面は常に水分を含んでいます。
大雨のあとは湿度が一気に上昇し、乾燥するまで時間がかかります。
特に古い住宅では防湿シートが敷かれていないため、地中の水蒸気が絶え間なく床下に供給され続けることになります。

(2)基礎の通気不足

通気口の数が少ない、位置がよくない、周囲の土が盛り上がって塞がれているなどで、空気がうまく流れないことがあります。
通気が滞ると、床下の湿気は溜まりやすく、排出されにくい環境になります。

(3)水道管からの微細な漏水

目に見えない小さな水漏れが床下で起きていると、湿気は一気に高まります。
漏れた水は地面に吸収されず、蒸発して湿気となり、長期的に床下環境を悪化させます。

(4)日当たりや立地による影響

北側に面していて日光が当たりにくい、地形的に湿気がこもりやすい、川や沼が近く湿度が高いなど立地の影響も大きく関係します。

(5)浴室・キッチンの湿気が床下に流れ込む

古い住宅や気密性が低い住宅では、浴室・洗面所の湿った空気が床下に流れ込むケースがあります。

2. 床下の湿気が引き起こす住宅への悪影響

床下の湿気が問題なのは、単に不快だからではありません。
以下のように、家そのものの寿命に大きく関わる深刻なトラブルを招く可能性があるのです。


(1)木材の腐朽(腐れ)

住宅の土台・大引き・根太など、床下の構造材は木材が使われています。
湿気により木材含水率が高い状態が続くと、木材腐朽菌が繁殖し、木が腐り始めます。

  • 強度が大きく低下する
  • 床が沈む、きしむ
  • 基礎部分がたわむ

最悪の場合、建物の耐震性が大きく低下します。
特に築20年以上の住宅では、腐朽が進んでいるケースが少なくありません。


(2)シロアリ被害の発生・拡大

シロアリは湿った木材を好みます。
床下が湿っている状態は、言わば「シロアリが住みやすい環境」が整っている状態です。

  • 湿気の多い床下 → シロアリの活動が活発化
  • 木材が湿って柔らかくなる → 食害が進みやすい

湿気とシロアリはセットで発生しがちで、気付いたときには大がかりな補修が必要になることもあります。


(3)カビの発生と健康被害

湿度が高い場所ではカビが繁殖しやすく、床下のカビは以下のようなリスクをもたらします。

  • 室内の空気にカビ臭が漂う
  • アレルギーや喘息を引き起こす
  • ダニの発生を促す

特に小さなお子様や高齢者がいるご家庭では注意が必要です。
床下のカビは見えないだけで、確実に健康へ悪影響を与える存在です。


(4)断熱性能の低下

断熱材が湿気を吸うと、断熱性能が大きく低下します。
床が冷える、暖房効率が下がるなど、生活の快適性が損なわれるだけでなく光熱費が余分にかかることにつながります。


(5)家全体の耐久性低下と資産価値の減少

床下の湿気が原因で、建物の各所に以下のような症状が現れることがあります。

  • 床が冷たい
  • 床鳴り
  • 壁紙の剥がれ
  • 浴室周りの腐食
  • 外壁や基礎のひび割れ

さらに、シロアリ被害や腐朽が進んだ住宅は売却時の査定にも影響します。
「床下は家の健康状態のバロメーター」と言われるほど、家全体の寿命に大きな関わりがあるのです。

3. 床下環境が悪化しやすい家の特徴

あなたの家が以下に当てはまる場合、床下の湿気リスクが高い可能性があります。

  • 築20年以上経っている
  • 地面がむき出しの床下になっている
  • 通気口が少ない、または塞がっている
  • 床が冷たい、カビ臭い
  • 雨が降ると基礎周辺に水が溜まる
  • 以前水漏れがあった
  • シロアリ予防を10年以上していない
  • 北側や日当たりの悪い立地に建っている

思い当たる項目がある場合は、早めの対策が安心です。

4. 床下の湿気を放置するとどうなる?

事例① 床がぶよぶよして歩きにくい

床下の湿気で土台や根太が腐朽し、床を支える力が弱くなったために起きた症状です。
この場合、部分補修だけでは済まないことが多く、費用も高額になりがちです。

事例② キッチンの床下からカビ臭が漂う

床下でカビが繁殖し、換気口を通じて室内に臭いが上がってきたケースです。
断熱材もカビていたため、全面張り替えが必要でした。

事例③ シロアリ被害が広範囲に及んだ 湿気の多い床下でシロアリが巣を作り、土台や柱が大きく食害されていました。
防蟻工事と構造補修が必要となり、数十万円〜百万円以上の費用がかかった事例もあります。

5. それでは、床下の湿気対策はどうすればいいのか?

ここからは、住宅所有者が押さえておきたい具体的な対策を紹介します。


(1)床下の点検を定期的に受ける

まず大切なのは現状を知ることです。
床下は一般の方では確認できないため、専門家による床下診断がおすすめです。

  • 湿度・温度
  • 木材の腐朽
  • シロアリの痕跡
  • 水漏れ
  • 断熱材の状態

これらを定期的にチェックすることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。


(2)防湿シートまたは防湿コンクリートの施工

地面からの湿気を遮断するため、床下の地面に防湿シートを敷いたり、防湿コンクリートで覆う方法が有効です。

  • 湿度が大幅に下がる
  • カビ・腐朽・シロアリ対策になる
  • 床下のメンテナンスが容易になる

築年数の経った住宅でも有効な改善方法です。


(3)床下換気を改善する

自然換気口だけでは湿気が抜けにくい住宅では、以下のような対策があります。

  • 床下換気扇の設置
  • 換気口の位置や数の見直し
  • 通気欠損部の改善

特に湿度が高い地域や、木造住宅では換気改善が大きな効果を発揮します。


(4)水漏れの早期発見と修繕

給水管・排水管からの微量な漏水でも、床下環境を大きく悪化させます。
定期的な点検や水道メーターの異常チェックが重要です。


(5)シロアリ防除を定期的に行う

湿気対策と同時に、シロアリ予防も必須です。
防蟻処理の効果は一般的に5年程度と言われているため、定期的な更新が安心です。

床下の湿気は“家の寿命を左右する”重要ポイント

床下の湿気は普段の生活では気付きにくいものですが、住宅にとって大きなリスクとなる存在です。

  • 木材の腐朽
  • シロアリ被害
  • カビの発生
  • 断熱性能の低下
  • 健康被害
  • 建物全体の耐久性低下

これらはすべて、床下の湿気が原因で起こり得る問題です。
しかし、逆に言えば 床下環境を整えておくだけで多くのトラブルを防げる ということでもあります。

「床下の湿気」は放置すると住宅の老化を早めますが、定期点検と適切な対策を施せば、住まいを長く健康に保つことができます。

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