【家の終活】知っておくべき4つの秘訣 ②家の撮影

家の撮影は「資産の魅力」を伝えるプロモーション

写真は語る、家の履歴と資産価値

前回、私たちは「家の終活」の第一歩として公的な書類や、最も重要な「保全・メンテナンスの履歴情報」を整理することの重要性を解説しました。
この履歴情報こそが、家を「管理が行き届いた優良な資産」として証明する「家のカルテ」となります。

その「カルテ」が整ったら、次に大切なのは、その価値を市場に最も魅力的に伝える方法です。
それが、今回のテーマである「家の撮影」です。

売却を前提とした家の撮影は、単なる記録写真ではありません。
それは、この家が持つ潜在的な魅力、そして大切にされてきた管理の履歴を視覚的に証明するための、資産価値を高めるプロモーション活動です。写真の出来栄えが、内覧希望者の数、ひいては早期売却や高値売却の可能性を大きく左右します。

1. 売却写真の「基本」と「戦略」

不動産のポータルサイトやチラシで、購入検討者が最初に目にするのは物件写真です。
写真で興味を持ってもらえなければ、内覧にすら繋がらず、せっかく整えた履歴情報を見てもらう機会すら失ってしまいます。

1-1. 魅力的な写真のための下準備

最高の写真を撮るためには、撮影の技術以上に「下準備」が重要になります。家財の整理(次回詳述)が必要不可欠ですが、撮影戦略として特に重要なのは「空間の広さと明るさの表現」です。

  • 光を最大限に取り込む: 写真の印象を決定づけるのは光です。全ての照明を点灯させることはもちろんですが、最も日当たりが良い時間帯を選び、自然光を最大限に活用して、明るく清潔感のある状態を撮影します。
    暗い写真は、家の古さや陰湿な印象を与えがちです。
  • 広さと開放感の演出: 空間を広く見せるため、不要な家具や装飾品は一時的に片付けます。特に床や壁が多く見えるようにすることで、開放感を強調できます。プロのカメラマンは広角レンズを使い、空間の広がりを効果的に捉えます。
  • 生活感の排除(自己投影の促進): 個人的な物品や生活感の強いものは一時的に片付けます。これは、売主様の生活を否定するのではなく、買主様が「自分の家具を置いたらどうなるか」「この家で自分がどう暮らすか」を想像しやすい状態、すなわち「自己投影」を促進するためです。

1-2. 訴求すべきは「物件そのものの価値」

プロの不動産写真には、単なる間取りの記録を超えたメッセージが必要です。
写真を通じて、その家で暮らすことの「快適さ」を伝えなければなりません。

  • 素材の質感: 床材、壁材、建具といった、家の素材が持つ上質な質感や、経年変化による風合いを捉えます。
    特に、大切に手入れされてきたフローリングの艶などは、そのまま「管理の質」を物語ります。
  • 日当たりの良さ: 「午前中のリビングはこんなに気持ちが良い」「午後のダイニングに光が差し込む」といった、特定の時間帯の魅力を計画的に撮影し、暮らしのシーンを想像させます。
  • 周辺環境との調和: 窓から見える景色や、庭の植栽など、その家が周囲の環境とどのように調和しているかを伝え、この家で得られる「体験」を強調します。

2. 「見えない価値」を可視化する撮影戦略

ここからが、定期的な「家の健康診断」と「履歴管理」を行ってきた家の強みを発揮する戦略です。

一般的な売却写真では、築年数が古いほど、外観や内装の「経年劣化」がマイナス要素として捉えられがちです。
しかし、適切なメンテナンスが行われてきた家は、その「劣化」ではなく「時間の経過に耐えうる耐久性」と「管理の質」をアピールすべきです。

2-1. メンテナンス箇所のクローズアップ撮影

家の終活において、特に力を入れてメンテナンスしてきた箇所を、クローズアップで撮影することは非常に有効です。

  • 外壁と屋根: 塗り替えや防水処理が施された部分の、ひび割れのない状態。適切な保全が施されていることを証明します。
  • 水回り設備: 交換されたばかりの給湯器や、清掃が行き届いたキッチン・浴室の設備は、買主様が最も気にする「将来の出費」が当面ないことを示します。
  • 基礎や構造に関わる部分: (内覧時に見せにくい部分であれば)プロの住宅診断士が指摘した箇所が、適切に補修・強化された様子を記録しておきます。

これらの写真は、「この家は見えないところまで手をかけている、安心できる物件だ」というメッセージを視覚的に買主様に伝えます。

2-2. 住宅診断レポートの活用:ビフォー/アフター

「年に一度の住宅診断」と「保全・メンテナンス」がセットで行われている家にとって、売却時にはこの診断履歴こそが最強の武器になります。

写真撮影と並行して、過去の診断時に撮影された「劣化前の写真(ビフォー)」と、メンテナンス後の「修繕完了の写真(アフター)」をセットで提示する資料を作成します。

たとえば、外壁の初期のひび割れ(クラック)が診断時に発見されたとします。

  • 【ビフォー写真】「外壁に初期のクラック(ひび割れ)が発生している状態(○年○月診断時)」
  • 【アフター写真】「専門業者により適切なシーリング処理・塗装が完了した現在の状態(○年○月)」

このようなビフォー・アフターの記録は、買主様に対して「この家のオーナーは、小さな劣化も見逃さず、迅速かつプロの介入で対処してきた」という強い信頼感を与えます。
これは、築年数といった表面的な情報に惑わされない、「管理の質の証」となります。

3. 戸建住宅の「履歴管理システム」の優位性

通常、家の保全・メンテナンスを依頼する会社と、家の売却を依頼する不動産会社は別々です。
そのため、売却担当者は「どこを、いつ、どうメンテナンスしたか」という詳細な履歴を把握することができません。
買主への説明も、「書類に書いてある通りです」という抽象的なものになりがちです。

3-1. 情報の一元管理が戦略を生む

しかし、家の「健康診断」「保全・メンテナンス」「売却」までを総合的にサポートする仕組みを利用している場合、大きな優位性が生まれます。

  • 情報の同期: 住宅診断や保全の記録(カルテ)がデジタルで一元管理されています。
  • 戦略的な撮影: 売却を担当する専門家は、このカルテを参照することで、「この物件の真の価値(管理の質)」を最大限に引き出すための撮影箇所、アピールポイント、そして過去の履歴を提示する資料を正確に把握できます。

これは、「メンテナンスの質」と「売却の戦略」が完全に同期していることを意味します。
他の物件では不可能な、「履歴に基づいた価値訴求」が可能となるのです。

たとえば、築20年で外壁塗装を予定している場合、売却時期をずらすか、売却前に塗装を行うかという判断が求められます。しかし、毎年診断を受けている家であれば「まだ軽微なひび割れ程度だが、5年後に備えてシーリング処理を優先する」といった予防保全の履歴を提示することで、買主様へ「目先の大きな出費がない」という安心感を与え、戦略的に売却を進めることができます。

4. 撮影時に注意すべきポイント

プロのカメラマンに依頼するとしても、家主様が事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。

4-1. プライバシーとセキュリティへの配慮

撮影した写真はインターネット上に公開されることになります。表札や家族写真、個人情報が書かれた書類などは、必ず写り込まないように徹底的に排除してください。
また、窓の外の景色が特定されやすい場合は、撮影角度にも配慮が必要です。

4-2. 季節や天候への戦略的対応

最も魅力的な写真を撮るために、季節や天候を考慮することも重要です。

  • 庭の植栽: 庭木が最も美しい季節(新緑や紅葉)に合わせて撮影時期を選ぶ。
  • 天候: やはり晴天の日が基本です。雨の日や曇りの日は、内装が暗く写り、魅力が半減してしまいます。

最高の写真を用意できなかった場合は、「管理履歴」という裏付けが、写真の不利な点を補う「説得力」となります。
写真で伝えきれない部分を、客観的なデータで補完できるのが、履歴管理の最大の強みです。

資産価値を担保するのは「管理履歴」の可視化

「家の撮影」は、単に美しい家を写すことではなく、「この家がプロの手で丁寧に管理されてきた証拠」を視覚的、資料的に提示することです。

そして、その証拠とは、前回解説した年に一度の住宅診断とその履歴管理、そしてそれに基づく適切な保全・メンテナンスによってのみ得られるものです。これらの履歴を写真や文書で提示することで、築年数といった表面的な情報に惑わされることなく、他の物件より高い安心感と評価を得て、最終的な高値売却へと繋げることができます。

次回は、家の終活の物理的な側面、「家財の整理」がなぜ売却成功の鍵となるのか、そしてその裏にある、家の劣化を防ぐ「予防保全」としての役割について掘り下げます。

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