マンションから戸建へ引っ越すと光熱費が上がるのはなぜ? 暮らしの違いからその理由をわかりやすく解説

引っ越しを検討する際、「マンションより戸建は光熱費が高い」という話を耳にしたことはありませんか?


実際に住み替えた人の多くが、

  • 電気代が上がった
  • ガス代が増えた
  • 冬の暖房費が跳ね上がった
  • 夏のエアコン代が倍近くになった

といった変化を感じています。

しかし、「同じように暮らしているだけなのに、なぜ光熱費がこんなに変わるのか?」と疑問に思う方も多いはずです。
そこで本コラムでは、
家の構造・熱の伝わり方・立地・設備・心理的要因と、複数の視点からその理由をわかりやすく解説します。

そもそもマンションと戸建は「熱の逃げ方」がまったく違う


まず大前提として、光熱費に大きく関わるのが家の断熱性です。

■ マンションは“箱の中に箱”のような構造

マンションは上・下・左右を、他の部屋に囲まれています。
つまり、自分の部屋を包んでいるのは外壁ではなく 人が住んでいる空間の壁

マンションの断熱性が高い理由は、この「周りを別の部屋が囲んでいる構造」にあります。

外気に面しているのは、

  • 南側のベランダ面
  • 北側の玄関側
    くらいで、それ以外は外の気温の影響を受けにくいのです。

つまりマンションは「他の住人の部屋が、自然と断熱材の役割をしてくれている」状態。
そのため、
外が寒い冬でも部屋の温度が下がりにくい
外が暑い夏でも熱が入りにくい
という、大きなメリットがあります。

戸建ては「外気と触れ合う面が圧倒的に多い」

一方、戸建てはどうでしょうか?

■ 戸建ては“全身むき出し”

戸建て住宅は、

  • 前面
  • 側面2つ
  • 背面
  • さらに屋根
    と、ほぼ全部が外気に接している状態です。

外の冷気・熱気の影響を直接受けるため、冬は寒く、夏は熱くなりやすいのです。

● 冬のイメージ

マンション → 上下左右の住戸が暖房している
戸建て → まるっと外気に囲まれている
同じ暖房温度でもエネルギー量が全然違う

● 夏のイメージ

マンション → 屋根がない(最上階除く)
戸建て → 屋根が直射日光で猛烈に熱くなる
→ 天井から熱が降りてくる こうした違いが、光熱費の差を生む大きな原因です。

建物の「熱の逃げる量(熱損失)」が圧倒的に違う


光熱費の考え方で重要なのが、
建物がどれだけ熱を失うか(熱損失)です。

熱が外に逃げれば逃げるほど、エアコンや暖房は「もっと頑張らないといけない」状態になり、光熱費が上がります。

マンションと戸建てを比較すると…

● 一般的な気密性・断熱性の傾向

  • マンション:高い
  • 戸建て:低め(特に昔の家)

気密性とは、家の「すき間の少なさ」。
古い戸建は窓やドアのすき間が多く、冷気・暖気が出入りしやすいのです。

さらに、戸建ては外に向かっている面積が広いため、
逃げる熱の量が(マンションの2〜3倍)になることも珍しくありません。
これだけ熱が逃げやすいのですから、暖房・冷房の消費も増えるのは当然です。

戸建は「窓の数」「窓の大きさ」が全然違う

光熱費の大敵は 窓からの熱の出入り

実は、
家の中で最も熱が逃げるのは「窓」。
壁の10倍~20倍の熱が出入りすると言われています。

マンションの窓は比較的小さく、北側は腰高窓だけなどコンパクトな傾向があります。

一方で戸建は、

  • 採光のために大きな窓が多い
  • 2階建ては窓の数が2倍
  • 吹き抜けがあるとさらに熱が逃げる

特に大きな掃き出し窓や、バルコニーに向けて広い窓がある家は、
冬に冷気が直撃し、夏に熱が入りやすくなるため、光熱費が上がる要因になります。

マンションは「上下の住戸の熱を受け取れる」というメリットがある

マンションでは、

  • 下の階 → 暖房の熱が上に伝わる
  • 上の階 → エアコンの熱気が下に伝わる
    というように、他の住戸の温度の影響を受けやすいです。

冬になると、下の部屋の暖房のおかげで、床がほんのり暖かいということもよくあります。
戸建てではこうした“熱の恩恵”が一切ありませんので、
床暖房をつける時間が長くなりやすいという影響もあります。

戸建は「部屋数が多い=使うエネルギーも多い」

マンションに比べると、戸建ての方が部屋数が多い傾向があります。

特に、

  • 1階にリビング
  • 2階に寝室・子供部屋
  • 3LDK〜4LDKが一般的
    など、居室が多いと、どうしても冷暖房を使う範囲が広がります。

また戸建はフロアが分かれているため、
「2階だけ暑い」「1階だけ寒い」
といった温度ムラが発生し、部屋ごとに空調を使う必要が出てきます。

● マンションなら

→ 1台のエアコンで部屋全体がある程度快適になる

● 戸建なら

→ 1階・2階で別のエアコン
→ 寝室・子供部屋でも使用
→ 玄関・廊下にも冷暖房が必要 この「エアコンの台数」の差も光熱費の差に直結します。

戸建は「玄関・廊下・階段」が冷暖房効率を悪くする

マンションには廊下が少なく、玄関もコンパクトです。

しかし戸建は、

  • 広い玄関
  • 長い廊下
  • 吹き抜けの階段
    があり、これらがすべて“温度の逃げ道”になります。

特に吹き抜けは要注意で、

  • 冬の暖かい空気が上へ逃げる
  • 夏は2階の熱気が降りてくる

といった構造上の弱点があります。 このため、
同じ温度に保つために必要なエネルギーが増える=光熱費が増える
ということにつながります。

戸建ては「外気温の影響を受けやすい立地」も多い

マンションは都市部や駅近に多く、周囲が建物で囲まれ、風の影響も少ない場所に建てられます。

一方で戸建ては、

  • 郊外
  • 風当たりが強い場所
  • 周囲に遮るものがない
    などの条件になりやすく、外気温がそのまま家に届きます。

特に冬は
冷たい風が家の壁や窓を冷やし、室内温度を大きく下げる
ため、その分暖房費が上がります。

戸建は「給湯タイプ」がマンションと違う場合がある

ガス・電気・給湯器の種類も、光熱費に影響します。

■ マンションに多い給湯タイプ

  • 都市ガス
  • 深夜電力を使うエコキュート

これらは光熱費が比較的安く済む傾向があります。

■ 戸建てに多い給湯タイプ

  • プロパンガス(LPガス)
  • オール電化でも昼間の電力が多くなる
  • 古い給湯器で効率が悪い

特にプロパンガスは都市ガスの2〜3倍の料金になることもあり、
引っ越しただけでガス代が跳ね上がるケースはよくあります。

戸建て住みは「家のことを気にして使う」心理も影響する

意外と見落とされますが、心理的な影響もあります。

戸建に引っ越すと、

  • せっかく広いリビングだから暖かくしたい
  • 子供部屋には常に空調をつけてあげたい
  • 脱衣所が寒いのは危ない
    など、生活の快適さを優先するようになりやすいです。

マンション時代よりも「住まいを快適にしたい」という気持ちが強まり、
結果として空調の使用時間が増えるというわけです。

戸建は「日当たりの良さ」が逆に光熱費を上げることもある

戸建ては南向きに大きな窓を設け、日当たりを確保しやすい設計が多いです。

しかしこれが、

  • 冬 → 窓から冷気が侵入して寒い
  • 夏 → 直射日光で室内がものすごく暑くなる

という問題を生みます。 特に夏は、
大きな窓が“熱の入口”になり、冷房費を大幅に引き上げる
ため注意が必要です。

光熱費を抑えるためにできる対策

戸建に住むなら、対策をすることで光熱費をしっかり抑えることができます。

ここでは優先度順に紹介します。

① 窓の断熱対策(最優先)

  • 内窓(二重窓)をつける
  • 断熱シートを貼る
  • 厚手のカーテン・遮熱カーテンを使う

窓対策は効果が大きく、暖房・冷房の効率が格段に上がります。


② 日よけシェード・すだれで夏の暑さをカット

戸建は窓が多いため、夏の日差しカットは必須です。


③ 玄関・廊下も空調をサポート

  • ドアに隙間風テープ
  • 断熱カーテン
  • サーキュレーターで温度ムラをなくす

④ エアコンの位置を見直す

吹き抜けの真下に置くと効率が最悪になるため、場所次第で光熱費は大きく変わります。


⑤ 給湯器を省エネ型に交換する 特に古いガス給湯器は効率が悪く、交換だけで光熱費が下がることもあります。

まとめ:マンションより戸建の光熱費が上がる理由は“家の構造そのもの”にある

ここまで紹介したように、光熱費が上がるのは単純に
「家が広いから」
だけではありません。

マンションと戸建ての構造的な違いが大きな原因です。


■ マンションの特徴(光熱費が安くなりやすい)

  • 他の住戸が断熱材の役割
  • 熱が逃げにくい
  • 窓が少ない・小さい
  • 玄関や廊下がコンパクト
  • 空調の効率が良い
  • 日当たりの影響を受けにくい

■ 戸建ての特徴(光熱費が高くなりがち)

  • 外気に面している面積が圧倒的に広い
  • 屋根が直射日光で熱される
  • 窓が多くて大きい
  • 部屋数が多く空調範囲が広がる
  • 玄関・廊下・階段など温度ロスが大きい
  • 立地の影響を受けやすい

最後に:戸建は光熱費が上がるけれど、それ以上の魅力もある

戸建てはマンションより光熱費が上がりやすいものの、
そのぶん、

  • 音が気にならない
  • 庭や駐車場が使える
  • 子育てしやすい
  • 空間にゆとりがある
  • リフォームの自由度が高い

といった大きなメリットがあります。

光熱費の違いを理解して、
適切に対策すれば、戸建てでも快適に暮らすことは十分可能です。 引っ越し後の光熱費が気になる人も、
家の特徴を知って対策をすることで、暮らしの満足度は大きく変わります。

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