自分で出来るホームインスペクション―まずは自宅を知ることから始める住宅診断の第一歩―

新築でも中古でも、家を長く安全に使い続けるためには、住まいの状態を正しく把握することが欠かせません。

最近では「ホームインスペクション(住宅診断)」という言葉が広く知られるようになりましたが、実は簡単なホームインスペクションなら、専門家に依頼しなくても自分で行うことができます。

もちろん、プロが行う住宅診断には専門知識・専用機器・経験に基づく判断が必要です。

しかし、日常的に自宅を観察し、住まいの小さな変化に気づくことは、誰にでも可能です。

そして、その「気づき」がトラブルの早期発見につながり、結果的に大きな修繕費用を防いでくれるのです。

本コラムでは、一般の方でも実践できる「自分で出来るホームインスペクション」について、詳しく解説します。

また、最後にはプロの住宅診断が必要になる場面についても触れていますので、住まいの健康を守るための判断材料としてご活用ください。

1. なぜホームインスペクションは必要なのか?

住まいは生活の基盤です。
雨・風・太陽光・湿気・地震といった外的要因によって年々劣化していきます。

見える場所だけでなく、見えない場所でも劣化は進むため、気づかないうちに重大な問題へ発展してしまうケースも少なくありません。

● 小さな雨漏りが放置され、壁内部の腐朽が広がる
● 基礎のひび割れを放置し、構造に悪影響が出る
● 換気不良でカビが繁殖し、健康被害に発展する
● 白蟻被害に気づくのが遅れ、大規模補修が必要になる

こうしたトラブルは、早期に発見できれば補修費も最小限に抑えられます。
ホームインスペクション(住宅診断)は、建物の状態を確認し、問題の有無や修繕の優先度を明らかにするための「家の健康診断」です。

実は、診断の多くは“目視での確認”が中心であり、普段の生活の中でも簡単にできるポイントが多くあります。

2. 自分で出来るホームインスペクションのメリット

① 費用がかからない

日常の点検なら、特別な費用は不要です。

② 住まいへの理解が深まる

家の仕組みを知ることで、問題の早期発見が可能になります。

③ トラブルを未然に防ぎやすい

「そういえば最近ここにひびが…」など、小さな変化に敏感になります。

④ プロへの住宅診断が必要なタイミングが判断しやすい

自分では判断できない段階で専門家を呼ぶことで、診断の精度がより高まります。

3. 自分で出来るホームインスペクションのチェックポイント

ここからは、一般の方でも実践しやすい “部位別” の住宅診断方法を紹介します。
「細かい専門知識はないけどとりあえず見ておきたい」という方のために、できるだけシンプルな視点でまとめています。


【外回りのチェック】

(1)外壁の状態

外壁は家を守る最前線の部分です。以下の点を確認しましょう。

● ひび割れ(特に0.5mm以上の亀裂)
● 塗装の剥がれや色あせ
● 雨筋汚れが目立つ場所
● コーキング(つなぎ目のゴム)のひび割れ・剥離

外壁のトラブルは雨漏りにつながる可能性があるため、早期の確認が重要です。


(2)屋根(見える範囲で)

安全確保のため、屋根に登る必要はありません。
地上から、双眼鏡を使って確認できます。

● 瓦やスレートのズレ
● 色あせ
● コケの発生
● 屋根板金部分の浮き

屋根は風雨の影響を最も受けるため、劣化が早い部位です。


(3)基礎のひび割れ

基礎は家を支える土台の部分です。

● 横方向のひび割れ
● 幅が広いひび割れ
● 貫通しているひび割れ
● 白い粉が出ている(エフロレッセンス)

ひび割れの種類によっては、構造に影響する可能性があります。


(4)雨どい

雨どいの詰まりや破損は雨漏りの原因になることがあります。

● 落ち葉の詰まり
● 雨どいの外れ
● 金具のゆるみ

雨の日に水があふれていないかも確認すると良いでしょう。


【室内のチェック】

(1)床の傾き

床の傾きは、家の構造に関わる大きなポイントです。

● ボールを置いて転がるか
● 歩いたときに沈む場所があるか
● フワフワする部分があるか

床の傾きは白蟻や劣化、構造不良の可能性があります。


(2)壁・天井の状態

● クロスの割れ
● シミ(雨漏りの可能性)
● 鼓(つづみ)のように膨れている
● カビの発生

特に天井のシミは注意が必要です。


(3)窓・サッシ

● 開け閉めが重い
● 結露がひどい
● 建てつけが悪い

窓周りの問題は、断熱性や気密性の低下を示すことがあります。


(4)水回り(浴室・洗面・キッチン・トイレ)

● カビ
● コーキングの破断
● 床の腐食
● 水漏れ
● 異臭

水回りは家の劣化が最も早く出やすい場所の一つです。


【室内環境のチェック】

(1)換気状態

● 換気扇が正常に動いているか
● フィルターの汚れ
● 湿気がこもっていないか

換気が悪い家は、カビやダニが発生しやすくなります。


(2)断熱性能の確認

簡単にできるチェック方法として、

● 夏に2階が極端に暑い
● 冬に窓が結露する
● 部屋によって温度差が大きい

これらは断熱性能の低下のサインです。


【見えない部分のチェック】

(1)床下(可能であれば覗く程度でOK)

● 白蟻の蟻道
● 湿気が溜まっていないか
● 木材の腐食

白蟻は見つけた時点で被害が広がっていることが多いため、早めの確認が重要です。


(2)屋根裏(点検口から覗く程度でOK)

● 水滴やシミ
● 木材の腐食
● 断熱材のずれ

屋根裏の状態は、雨漏りを早期に察知する重要なポイントです。

4. 自分でホームインスペクションを行う際の注意点

① 無理して屋根や高所に登らない

大変危険です。見える範囲のチェックで十分です。

② 判断できない場合は無理に断定しない

「気になる」と思ったらメモしておく程度でOKです。

③ 定期的に行うことが大切

半年〜1年に一度はチェックするのがおすすめです。

5. どのレベルから専門家の住宅診断が必要になるのか?

自分でチェックできる範囲には限界があります。次のような場合は、できるだけ早くプロのホームインスペクション(住宅診断)を依頼しましょう。


① ひび割れが大きい、増えている

基礎や外壁のひび割れは、専門家が幅・深さ・方向を判断する必要があります。


② 雨漏りの疑いがある

雨漏りは初期発見が最重要で、放置すると大きな補修費用になります。


③ 床が明らかに傾いている

構造的な問題や白蟻被害の可能性があります。


④ 中古住宅を購入する前後

もっとも多い依頼理由です。
購入前の住宅診断は、将来のトラブルを避けるうえで非常に有益です。


⑤ リフォーム前

間取り変更や大規模リフォームをする前には、建物の状態を調べておく必要があります。

6. 自分でチェックするだけでは限界がある理由

ホームインスペクションは基本的に「目視」が中心であるため、誰でも簡単にできる部分が多くあります。

しかし、プロの住宅診断が優れている点は以下です。

● 赤外線カメラや水平器などの専用機器を使う
● 雨漏りの兆候を構造的な視点で判断できる
● 白蟻被害の初期症状を見抜ける
● 劣化の進行度を数値で評価できる
● 改修が必要な箇所を明確に示してくれる

つまり、自分で出来るチェックはあくまで日常点検であり、正確な診断や修繕の判断はプロの住宅診断が必要なのです。

7. 自分で出来るホームインスペクションは「気づき」を増やすための第一歩

自分でホームインスペクション(住宅診断)をする最大の目的は、
「住まいの変化に早く気づくこと」
です。

気づきさえあれば、家を守るための行動が早くなります。

● 少しの雨染み → 早めに相談
● 小さなひび割れ → 専門家に状況確認
● 結露の悪化 → 断熱改善の検討

このように「判断材料としての点検」は誰にでもできます。

8. 定期的なプロの住宅診断を組み合わせることが最も効果的

自分で日常的にホームインスペクションを行い、
大切なタイミングではプロの住宅診断を受ける。

この組み合わせが、住まいの寿命を最も延ばす方法です。

特に以下のタイミングでは専門家の診断を強くおすすめします。

✔ 家を購入する前(新築・中古どちらも)
✔ 築10年を超えたタイミング
✔ 大規模リフォームの前
✔ 雨漏りやひび割れが気になるとき
✔ これから長く住む予定があるとき

住まいは大きな資産です。

小さな異変を見逃さず、適切なタイミングで住宅診断を受けることで、安心して長く住み続けられる住まいになります。

自分で出来るホームインスペクションは“住まいを守る習慣”

本コラムでは、一般の方でも実践できるホームインスペクションのポイントを紹介しました。

「家の状態なんてよくわからない…」と思っている方でも、今日からすぐに始められる内容ばかりです。
大切なのは、小さな変化に気づくこと。
そして、判断できない場合や心配な場合は、迷わずプロの住宅診断に相談することです。

自分でできる点検と専門家の診断を上手に使い分けることで、あなたの住まいはより長く、より健全に、そしてより安心して住み続けられる場所になります。

住まいの健康は、あなた自身の気づきと行動から始まります。

ぜひ今日から「自分で出来るホームインスペクション」を始めてみてください。

こうした「気づき」を整理し、専門家の視点で確認する入口として、オンライン住宅診断という方法もあります。

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